「世界のボッチャ」は、各国でボッチャがどう広がり、どんな選手や実績があるのかを、公式情報をもとにたどるシリーズです。第2回はタイです。
タイは、パラリンピックのBC1/BC2チーム戦で、2012年のロンドン大会、2016年のリオデジャネイロ大会、東京2020大会と、3大会続けて金メダルを取ってきました。個人・チームを合わせると、2012年から2024年まで4大会続けて金メダルを獲得しています。
日本にとっては、パラリンピックの決勝や準決勝で何度も向き合ってきた相手でもあります。
タイが強いのはどのクラス?
タイの実績が特に目立つのは、BC2と、BC1とBC2の選手で組むチーム戦です。BC2は、手でボールを投げ、補助者がつかないクラスです。
BC2の個人では、リオデジャネイロ大会、東京2020大会、パリ大会と、3大会続けてタイの選手が決勝に進みました。BC4でも、個人やペアでメダルを重ねています。
パラリンピックで続く実績
- ロンドン2012:BC1個人でパタヤー・タッドトーン(Pattaya Tadtong)が金メダル。チーム戦は決勝で中国を破って金メダル
- リオデジャネイロ2016:BC2個人はタイの選手どうしの決勝になり、ワチャラポン・ウォンサー(Watcharaphon Vongsa)が金、ワラウット・セーンアンパー(Worawut Saengampa)が銀。チーム戦も金メダルで、ボッチャのメダル数で国別の1位になりました
- 東京2020:チーム戦で3大会続けての金メダル。BC2個人とBC4個人で銀メダル
- パリ2024:BC2男子個人でセーンアンパーが金、ウォンサーが銅。BC4ペアで銅メダル
タイを代表する選手たち
- ワチャラポン・ウォンサー:BC2。2012年のロンドン大会から4大会続けてパラリンピックに出場。チーム戦で3つの金メダルを取り、リオデジャネイロ大会ではBC2個人と合わせて2冠を達成しました
- ワラウット・セーンアンパー:BC2。リオデジャネイロ大会と東京2020大会のチーム戦で金メダル。パリ大会でBC2男子個人の金メダルを手にしました。ウォンサーとは、BC2のタイトルを長く争ってきた間柄です
- ポーンチョーク・ラープイェン(Pornchok Larpyen):BC4。リオデジャネイロ大会から3大会続けてメダルを取り、東京2020大会では個人で銀メダルでした
日本とも縁の深いタイのボッチャ
- リオデジャネイロ2016:チーム戦の決勝で日本と対戦し、9対4でタイが金メダル。このときの日本の銀メダルが、日本のボッチャで初めてのメダルでした
- 東京2020:BC2個人の決勝は、杉村英孝選手とウォンサーの対戦でした。5対0で杉村選手が勝ち、日本のボッチャで初めての金メダルを取りました。チーム戦では、準決勝でタイが日本に8対3で勝ち、そのまま金メダル。日本は銅メダルでした
- パリ2024:BC2男子個人の準々決勝で、セーンアンパーが杉村選手に5対3で勝ちました。セーンアンパーはそのまま金メダルを取りました
- BOCCIA JAPAN CUP 2025:2025年4月に東京体育館で開かれた大会に、タイ代表が出場しました。メンバーは、パリ大会の金メダリストのセーンアンパーと、2023年の国際大会「World Boccia Challenger」(ポーランド)の個人で優勝したパクプム・リンチュム(Phakphum Linchum)です
決勝で川崎ボッチャーレを6対1で破り、「ボッチャ東京カップ」から名前を変えた最初の大会で初代王者になりました。杉村選手とセーンアンパーのエキシビションマッチも組まれました。
パラリンピックの中継で見てきたタイの選手たちと、日本の大会のコートで出会えることもあるのです。
タイの競技基盤
国際競技団体のワールドボッチャ(World Boccia)の加盟団体一覧では、タイの加盟団体は Cerebral Palsy Sports Association of Thailand です。
国際パラリンピック委員会(IPC)は2019年の記事で、タイのボッチャが力をつけてきた歩みを紹介しています。2008年の北京大会への出場を逃したことが立て直しのきっかけになり、2010年の世界選手権で銀メダルを取ったころから、チームに良い変化が見え始めたそうです。
当時のコーチは、選手たちが1日6時間、週6日の練習を続けていること、手の動きや投げ方を生体力学(バイオメカニクス)の技術で見直してきたことを話していました。東京2020大会に向けた準備は、スパンブリーのトレーニングセンターで始まっていました。
情報の確認について
この記事の情報は、2026年10月3日に確認しました。大会の結果と選手の実績はIPCの公式記録と記事、BOCCIA JAPAN CUP 2025は日本ボッチャ協会の大会ページとお知らせ、統括する団体はワールドボッチャの加盟団体一覧をもとにしています。
選手の名前は、IPCの英語表記をもとにカタカナで書いています(セーンアンパーは日本ボッチャ協会の表記)。タイ語の読み方と少し違う場合があります。
次に読む記事
- 世界のボッチャ #01 韓国編
- クラス分け(BC1〜BC4)とは
- エンド数と試合形式(個人・ペア・チーム)
- 観戦のたのしみ方 — どこを見ると面白いか
学習記事の一覧はボッチャを知るにまとめています。
